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あり方によっては「学問の自由」との関係から研究上重要な問題が潜み、大学教育の姿勢のあり方、社会における大学の位置付け、役割がますます間われるようになると思われる。
開かれた大学の役割として、行政学、政策科学における学問上の姿勢がますます問われることとなろう。
他方で、実務界から採用される大学教員(教官)が徐々に増えてきたことである。また、実務家も交えたオムニバス形式の授業科目を設けるところも出てきた。特に行政学、経営学、経済学の分野では盛んになりつつあり、各々の大学のカリキュラム上、従来のアカデミックの環境を保持しつつ、実務家出身の教員(教官)の役割をどのように構成していくかということがますます問われることとなろう。
第2に、1学年からゼミ形式の演習を取り入れるど、演習形式によって自ら問題を解く機会が多く学生に提供される傾向にあることである。したがって、法律学、行政学、政治学、経済学等の領域においては、学際化への試みは初学年より展開されていくこととなるのではなかろうか。おのずと、政策科学との関連も深まるものと考えられる。
第3には、セメスター(ゼメスター)制の導入である。これは、行政学、政策科学の領域に限らず、教育効果促進、学生の国際間の交流(留学等)の促進に対応したものであり、日本の大学がやっと国際交流の仲間入りをしたところである。

 

3. 行政学・政策科学の関係学部・学科の新展開

 

1991年2月8日の大学審議会による『大学教育の改善について』答中は、その後のわが国の大学教育のひとつの転換点となった。この答申の中では、既存の大学設置基準の一般教育一専門教育などの科目区分の廃止、学際化のための「学士」の種類の廃止などが謳われた。この答申を受けて文部省は、1991年7月に、大学設置基準の大綱化、簡素化をおこなった。これによって、特に文部省のいわゆる規制緩和が進行するとともに、これまで以前にも増して新名称の新学部、新学科が増加する傾向にある(表2参照)。
以下、行政学・政策科学に関連する学部、学科の動向を中心に整理しておこう。ここでも、各々の大学の学部、学科の設置の理念より、上記のコンピュータ・リテラシー教育の基盤化を除く3区分に従って、その重点の置かれ方によって以下のように3類型化しておこう。もちろん、あくまでも便宜的な類型化である。

 

 

 

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